2 社会全てが敵のとき唯一の味方である (『法律学楽想』p146〜151)
どんな極悪非道の殺人者にも弁護人がつく。これこそ、全世界が敵になったときにも人間としての存在を理解する最後の味方が必要となる。一人の友のない孤独は人間の尊厳を認める所以でない。この人間の尊厳の維持こそ、弁護士制度の趣旨そのものの姿である。弁護士制度は価値基準として、強大な国家の権力の前で、個人という弱い者即ち被告人という地位の味方として行動することが期待されている。どんな事件どんな状況においても常に自分とともにあって自分のために考えてくれる人、それが弁護士であるとの確信をもって行動し、社会の信頼も得たいものである。